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日曜日深夜、サード基地へ物資陸上搬入を強行…星洲住民ら反発

【2022年9月9日】

住民らの強い反発にもかかわらず、政府と軍当局は慶尚北道星州所在の駐韓米軍の高高度ミサイル防衛システム(THAAD、サード)基地に対し、地上からの物資搬入を意味する正常化作業を強行した。星洲住民と市民団体が運営するサード撤回韶成里総合状況室によると、9月4日深夜1時30分ごろ、ブルドーザーなど工事用装備とタンクローリーなどを含む車両10余台がサード基地に入ったという。

2017年4月に国内に搬入されたサードはこの間、設置に反対する地域住民と市民社会団体の反対にあい、物資などを搬入する際にはヘリコプターで空輸してきた。国防部は2021年5月からサード基地内の韓米将兵用生活館の改修のために、陸路での物資導入を開始。以後、毎週2、3回、工事資材と人力、生活物資などを車両で搬入していた。

しかし、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は5月、8月末までに「サード基地を正常化する」とし、地上接近を週7回に拡大すると示唆、搬入回数は6月から週5回に増えた。ただ、休日に装備を搬入したのは今回が初めて。総合状況室は「軍事作戦道路でもない住民が歩く地域会館の前の道を通って深夜に入ってきた」「住民と意思疎通するためだと現場に出ている警察と国防部側は、週末に搬入作戦はないから安心せよといったが、奇襲的に入ってきた。嘘をついた」と批判した。

国防部のイ・ホンシク報道官代理は5日、定例会見でこうした事態について問われ、△陸上輸送確保(正常化)のための努力を継続している△4日の件は米軍の要請を受け安全などを考慮して決定した△現地で当局と住民の間でどのような意思疎通がなされているのかは確認が必要とするなど、曖昧な答弁に終始した。

サードに反対する星州住民と6つの市民社会団体メンバー約1000人は3日、サード基地入り口でサード基地正常化に反対する集会を開催していた。

韓米当局は当初、サードは朝鮮の核に対処するためだと主張していたが、現在では朝鮮半島に必要な米国の対中国軍事戦略の柱であることは明らかだ。グローバル包括的戦略同盟の下、米国政府に無条件で追従する尹政権はサード基地正常化を軍事面での重要課題にあげ、地域住民の反対意志を踏みにじりながら、正常化という強硬策を開始した。地域住民の反対運動を核にしながら全国に波及するサード反対運動と反対世論により、尹政権の正常化作戦にストップをかけなければならない。

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