情勢コーナー
米国は韓国の主権を侵害するな…「国益優先の外交」は対米自主外交だ
李大統領、国益優先の外交強調
李在明(イ・ジェミョン)大統領は10月13日の閣議で、「韓国の国益が守られる外交を展開すべきだ」とし、「国と国との関係において屈従的な態度や事大主義的な態度は避けるべきだ」と述べた。
李大統領は「韓米同盟は非常に重要だ。外交の軸と言える。その一方で周辺の強国との関係管理も依然重要」とした上で、「国家間に意見の相違があるのは当然だ。それぞれが国益を追求する中で、常に利害が一致することはあり得ない。絶えず議論し、主張し、調整していくものだ」と説明。
韓米間の不協和音に関する報道を巡っては、6月に米ワシントンで開かれた朝鮮のサイバー脅威対応のための韓米日会議で、米国が韓国情報機関・国家情報院(国情院)の参加を拒否していたとする内容のほか、3月に予定されていた李鍾奭(イ・ジョンソク)国情院長の米国家地理空間情報局への訪問が見送られたとする内容も報じられた。今月も、ラトニック米商務長官が金正官(キム・ジョングァン)産業通商部長官に対し国情院への不信感を伝えたとする報道が飛び出し、同部と国情院は即座にこれを否定した。
4月には鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官が朝鮮北西部・亀城のウラン濃縮施設について公の場で言及したことに絡み、米側が韓国に提供した情報を公表したとして反発し、朝鮮に関する情報共有を制限したと報じられたこともあった。鄭氏は10月12日、亀城については昨年7月の国会による人事聴聞会でも言及したとして、米国が共有した情報を漏洩(ろうえい)したとする指摘は「間違っている」と反論した。
韓国、在韓米軍司令官の主権侵害発言に懸念表明
在韓米軍のブランソン司令官(韓米連合軍司令官、在韓国連軍司令官兼務)が韓国は南北軍事境界線付近にある非武装地帯(DМZ)の南側の鉄条網から始まると発言したことを巡り、韓国政府がさまざまなルートで米側に懸念を伝えたことが19日、分かった。米側は「十分認識しており、共感する」などと応じたという。
ブランソン氏は米国で開かれたセミナーで、「韓国はどこから始まり、どこで終わるのか。国連軍司令部の観点からすると、韓国はその(DМZの)南側の鉄条網から始まる」と発言し、波紋が広がっている。韓国の憲法では韓国の領土を「朝鮮半島とその付属の島嶼(とうしょ、島々)」と定めている。
国連軍司令部は朝鮮戦争休戦協定の履行を監視する。韓国側のDМZへの出入りを統制し、休戦協定を履行しているかどうかを確認するための現場調査や協定違反行為の調査・判断などを行う。
韓国の与党はブランソン氏の発言について、「韓国の領土主権を侵害する発言」などと批判している。
国防部関係者は「国連軍司令官個人の見解だ」とした上で、「韓国の領土主権に関する国防部の立場は揺るぎない」と明らかにした。
一方、ブランソン氏は同セミナーで、米軍主導の韓米連合軍が持つ戦事作戦統制権を韓国に移管するための条件が変化したとし、その理由として「計画変更」があったと明らかにした。条件が変われば、戦事作戦統制権の韓国への移管が遠のきかねないと憂慮する韓国政府は、この発言についても米側に懸念を伝えた。
戦事作戦統制権の韓国への移管や国連軍司令部の休戦協定管理、韓国の主権問題などを巡り、ブランソン氏と韓国政府の見解の相違が浮き彫りとなっている。韓国の政府高官は「適切な措置があるべきではないか」と述べた。
李大統領、戦事作戦統制権「必ず迅速に返還」
李在明大統領は19日、米軍主導の韓米連合軍が持つ戦事作戦統制権について「必ず迅速に(韓国に)返還されるべきだ」とし、「韓米協議も基本的に返還の方向で進んでいる」と青瓦台(大統領府)の記者団に述べた。
ブランソン司令官が戦事作戦統制権の韓国への移管条件が変わったと発言したことに関して質問され、李大統領は早期返還を目指す意向を明確にした。
李大統領は戦事作戦統制権の「移管」という表現が使われているが、「取り戻す」「返還」と表現すべきだと指摘。「国家として最低限の要件を備えるために作戦権を取り戻さなければならない」とし、「国家の地位や経済、文化、軍事面においても、作戦権を(米国に)委ねたまま放置しておく状況ではない」と強調した。
韓国の軍事力は、核戦力を除く通常戦力で世界5位につけていると指摘し、十分に国防を担うことができると説明した。
韓米の情報当局間であつれきが生じている問題に関しては、「韓国国家情報院と米国情報機関の間に何の問題もない状態だとは言えない」としつつも、「十分に管理可能だ」と述べた。
「対米投資・戦争基地化・派兵反対」自主平和大会、ソウルで開催
3500億ドル(約55兆3770億円)の対米投資の撤回、戦争基地化の阻止、戦時作戦統制権の即時返還を求め、ホルムズ派兵反対を訴える自主平和大会が17日、ソウル都心で開催された。主催は自主統一平和連帯(平和連帯)と全国民衆行動。
平和連帯のイ・ホンジョン常任代表議長は大会辞で韓米同盟の現代化と米国のインド太平洋戦略を厳しく非難した。イ議長は「韓国は対中国の第一列島線(※日本列島から沖縄、南西諸島、フィリピンを結ぶライン)に固定された空母であり、アジアの心臓を狙う短刀となっている」と主張。戦時作戦統制権返還についても、米国が新しい条件を掲げて返還を遅らせようとしていると批判した。そして「大韓民国の国家主権はすなわち国民主権」だとし、自主と平和を実現するために国民の力が必要だと訴えた。
進歩党はブランソン司令官の領土主権侵害発言と戦時作戦統制権返還条件の変更発言に対し抗議行動に乗り出した。キム・ジョンフン代表は19日、戦時作戦統制権はこれ以上、遅らせることはできないとし、国民運動を宣言。ソン・ソル議員は同日、光化門の米大使館前で抗議の一人スタンディングを開始した。同党指導部と議員らも参加しリレー方式で継続する予定。
米国は韓国の主権を侵害するな…李政権は対米自主外交を展開するときだ
李大統領は韓米間の不協和音を念頭に「韓国の国益が守られる外交を展開すべきだ」とし、「国と国との関係において屈従的な態度や事大主義的な態度は避けるべきだ」と述べた。さらに「国家間に意見の相違があるのは当然だ。それぞれが国益を追求する中で、常に利害が一致することはあり得ない。絶えず議論し、主張し、調整していくものだ」とも述べた。国益優先の自主外交論を展開したもので、正論である。
ブランソン司令官の主権侵害発言に対し、韓国政府は屈従的・事大主義的態度ではなく、まさにこうした姿勢で、国家主権・自主権を全面に掲げて堂々と交渉に臨むべきである。同司令官の発言はすでに度をこしており、まさに暴言だ。発言の謝罪、撤回がなければ、韓国政府として更迭を要求しなければならない。米側は「個人の見解」だとして、韓国政府にもそれで納得させようとしているようだが、公開の席上で司令官の肩書で発言した重要な内容を「個人の見解」としてすますことは許されない。国家主権の相互尊重は国際社会において重要な原理である。米国は韓国の主権を侵害してはならない。
ブランソン司令官の一連の発言は当然「個人の見解」ではないし偶然飛び出したものでもない。その真意は△韓米同盟の名の下に、韓国の軍事力とその行使範囲を恣意的に管理・活用し、あわせて国連軍司令部の管轄領域を独占的に拡大し△具体的には韓国を対中国の前進基地とし、あわせて韓国にアジア太平洋地域における中心部隊の役割を担わせ(いわゆる「軍事ハブ」)、軍事リスクを負わせるところにある。トランプ政権が進める「韓米同盟の再定義」の一方的な意思表示である。発言が最近に集中しているのは、トランプ政権が中間選挙で敗北すれば任期後半はレイムダック化が加速することが予想されるため、その前に「発言」を既成事実化し、「再定義」を押し通そうとの思惑があるのではないだろうか。
凋落(ちょうらく)する米国を何とか維持しようと「米国第一主義(米国ファースト)」を掲げて、国際法と国際秩序を無視し横暴の限りを尽くすトランプ政権。同盟国であっても、軍事強要、経済収奪、主権侵害とその専横はとどまるところを知らない。「こんな同盟国はいらない」とする韓国民衆の声はますます高まっている。
平和連帯のイ議長は「大韓民国の国家主権はすなわち国民主権」だと喝破した。「国民主権」政府を自任する李政権は、自主と平和を求める国民の声を背に、今こそ米国に対し国家主権・自主権を全面的に発揮するときだ。(10月21日)
※写真-「対米投資・戦争基地化・派兵反対」自主平和大会



