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情勢解説

非武装地帯で地雷爆発事故…南北間の緊張を高めるな

李大統領、地雷爆発事故に「徹底調査で真相究明し必要な措置を」

李在明(イ・ジェミョン)大統領は9月29日の閣議で、南北軍事境界線を挟む非武装地帯(DМZ)の韓国側で21日に起きた地雷爆発事故について、「軍当局は国連軍司令部との緊密な協力を基に迅速かつ徹底的な調査を行い、事件の真相を透明性を持って明らかにすべきだ」とし、「真相に応じて必要な措置を取る」との立場を示した。

また、李大統領は「地雷事故で3人の将兵が重傷を負った。負傷した将兵と家族にお見舞い申し上げ、快癒(かいゆ)を祈る」と述べた。

李大統領は「安全保障に与野党の区別はない」とし、「今回の事案に関して根拠のない陰謀論をあおり、国の安全保障を脅かすことがないよう願う」と訴えた。

第一野党「国民の力」の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表は27日、事故の調査開始が遅れたことについて、「もし、李大統領が故意に現場調査を遅らせたのであれば、明らかな利敵行為だ。大統領が訴追されない権利の対象外となる『外患罪』に該当する」などと批判した。

国防部・国軍・国連軍司令部、「北の地雷が原因、休戦協定違反」

姜信哲(カン・シンチョル)国防部長官は29日の国会国防委員会の会議で、爆発事故の原因が朝鮮の地雷と推定されることについて「休戦協定違反は明白だ」と述べた。姜氏は「北に責任があるため、相応の措置を取っていく」とし、「必要な方策を持っており、段階的に実施していく」と説明した。

韓国軍合同参謀本部の姜鉉宇(カン・ヒョヌ)作戦本部長は30日、声明を出し、「21日に軍事境界線以南で正常な捜索作戦を遂行していた将兵が、北の軍の地雷により深刻なけがを負う事件が発生した」として、朝鮮が境界線付近で進めている「要塞化」作業の中止や謝罪、責任ある措置を要求。同爆発事故は朝鮮の地雷によるものだと断定し、国境線の要塞化が事故を招いたと強調した。

国連軍司令部はこの日、声明を通じ「現場調査で軍事境界線以南の韓国側地域で北の対人地雷1発を発見した」と指摘し、休戦協定違反に当たるとの判断を出した。同司令部は27日から3日間、韓国軍と合同で現場調査を行った。

権大源(クォン・デウォン)合同参謀本部次長は10月5日、爆発事故の最終調査結果に関する記者会見で、「国連軍司令部との共同調査結果と科学的根拠に基づき、北がいわゆる国境線要塞化作業を口実に南北軍事境界線(МDL)の南側に設置した樹脂(プラスチック)製対人地雷によって、МDL南側で正常な作戦を遂行していたわが軍の将兵が重傷を負ったものと最終判断した」と発表した。韓国軍は同日、事故現場一帯に埋設された地雷を爆発させて処理した。

李大統領、「南北の軍事緊張緩和へ実質措置を続ける」

李大統領は1日、陸・海・空軍の本部がある忠清南道の鶏竜台で開かれた「国軍の日」の記念式典で演説し、対北政策について、「南北の軍事的な緊張を緩和するための実質的な措置を一貫して続けていく」と強調した。

また、「南北関係は複雑に絡み合っているが、忍耐心をもって丹念に解決していく」として、「信頼を回復し、断絶した対話を再開する道を北側も共に歩むことを期待し、求めたい」と表明した。

地雷爆発事故が発生したことについては、「不慮の事故で負傷した将兵たちのことを思うと、今も胸が痛む」として、「一日も早い回復を祈る」と述べたが、朝鮮を名指しすることはなかった。

統一部長官、地雷爆発事故めぐり朝鮮に対話提案 

鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は2日、地雷爆発事故について、「不幸な出来事」とした上で、軍事境界線をめぐる見解の相違を解消することが根本的な解決策になるとして、朝鮮に対話を提案した。鄭氏が地雷爆発に対する立場を示すのは事故後初めて。

事故の根本的な原因は軍事境界線、朝鮮が国境線と呼んでいる「ライン(線)」にあると指摘。「南北と国連軍司令部がそれぞれ測定する線がすべて異なっている」とし、「この問題を解消しなければ、いつでも同じ事故が再発する可能性がある」と懸念を示した。

その上で、「統一部長官として北側に提案する。会って意思疎通を図るべきだ。少なくとも軍事境界線を改めて確認し、測定と意思疎通を始めるべきだ」と提案した。対立を重ねて解決できる問題ではないとし、改めて対話を促した。

金与正氏、「要塞化で悪縁断つ」「自作自演第二部」 

李在明大統領が「国軍の日」に行った演説で、「南北の軍事的な緊張を緩和するための実質的な措置を一貫して続けていく」と表明したことを巡り、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の妹、金与正(キム・ヨジョン)党総務部長は2日、「自作自演の第二部」とする談話を発表した。

地雷爆発事故について「下っ端(したっぱ)」の合同参謀本部が難癖をつける一方で、大統領が軍事的緊張を緩和させると表明するのは、「一人で見るには惜しい茶番劇の最高潮であり、自作自演の第二部が幕を開けたかのようだ」とし、関係者を表彰するべきだと皮肉った。

金与正氏は先月30日の談話でも、DМZで起きた爆発事故の原因が朝鮮軍の地雷である可能性が極めて高いとした合同参謀本部の調査結果を「自作自演」と一蹴していたが、今回も同様の表現で非難した。

また、合同参謀本部が「国境線要塞化」の中止と謝罪を求めたことに対し、「われわれが国境線を要塞化する真意について正確に知る必要がある。簡単に言えば、韓国と向き合うことがないよう、動物すら行き来できないよう永遠に門を閉ざすことが目的だ」と強調した。

6日の朝鮮中央通信によると、朝鮮外務省は声明で地雷爆発事故を韓国の「自作自演」だと改めて主張し、韓国軍の調査結果を否定した。また、韓国軍の地雷除去作戦について、領土侵犯すれば強硬に対応すると警告した。

政府と軍は南北間の緊張を高めず情勢管理をすべき

地雷爆発事故については李大統領も強調するように、まずは徹底した調査を通じて真相究明を図り、その結果に基づき適切な処置をとることが基本であり原則。中間発表では、国連軍司令部は「北の休戦協定違反」、韓国軍は「北の地雷が原因」「休戦協定違反」と発表、朝鮮側は「自作自演」だと否定し反発した。韓国軍は5日、朝鮮がМDLの南側に埋設した地雷によるものだったとの最終判断を下した。

鄭統一部長官が指摘したように、南北間でМDLの基準線が互いに異なるのは事実で、こうした事態が生じないためにも解決は必要(※)。

李大統領は、「国軍の日」の記念式典で、地雷爆発事故の件で朝鮮を名指しして云々することは控え、「南北の軍事緊張緩和へ実質措置を続ける」と強調した。平和共存政策を進める大統領として、南北間の緊張を高めず情勢管理をする姿勢を示したものだ。こうした事態が発生すると、朝鮮への圧迫や韓米軍事同盟の強化が叫ばれるが、政府も軍も事態を悪化させず緊張を緩和する方向で一致して努力することが求められる。

※1953年7月27日の朝鮮戦争休戦協定締結時に設定されたМDLには当初、計1292個の標識が設置されたが、1973年以降は補修作業が行われず、現在は約250個しか残っていないとされる。

南北は標識のない区域について各自の軍事地図を基にМDLを区分しているが、基準線が異なるため「МDL越境」を巡る主張が対立している。実際、金与正氏も「わが軍人は一度も国境線を越えたことはない」とし、要塞化作業はМDLの朝鮮側で進めていると主張している。

この問題を解決するため、姜国防部長官は先ごろ、国会答弁で「今回の件を機に、(南北が)互いに基準を確認するため、対話の場に出てくるよう強く主張していく」と述べ、南北軍事会談を継続して推進する意向を示した。

(10月7日)

※写真-「国軍の日」の記念式典で演説する李大統領