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情勢解説

李大統領、「常に国民が正しい」…「ホルムズ派兵」懸案でその実践を求める

トランプ大統領、「協力しない国々、米国に補償すべき」

トランプ米大統領は9月14日(現地時間)、自身のSNSを通じて、イラン戦争で米国を支援しなかった国々に対し、「戦争終了後、米国に費用を補償しなければならない」と主張した。

トランプ氏は「石油がホルムズ海峡を通じて流れている」とし、「われわれにとって全く助けにならなかった世界の国々は、この詐欺のような戦争が終われば、米国に補償しなければならず、実際そうなる」と明らかにした。また「われわれは米国のためではなく、他国の人々のためにはるかに多く実行してきた」と述べた。

トランプ氏は、米国がホルムズ海峡の安全な通航のために軍事的負担を負っているだけに、その恩恵を受ける他の国々も費用を分担すべきだと主張し、韓国をはじめとする同盟国に対し、より大きな役割を果たさなければならないとして圧力をかけてきた。

李大統領が会見、ホルムズ問題「戦争介入となる派兵はない」

李在明(イ・ジェミョン)大統領は18日、青瓦台(大統領府)で記者会見を開き、山積する懸案について説明した。自身の任期については「憲法改正を通じた再任は憲法上、不可能だ」と述べ、「再任の考えは全くない」と明言した。

李大統領は、1987年に改定された現行憲法について「いまや韓国に合わない服であり、与野党の合理的な討論と国民の合意によって改正されるよう努力する」と述べた。その上で「内閣責任制や(大統領と首相による)二元執政制を導入しようとしているとの一部の主張は根も葉もない」として、「(自身の)再任を考えたことすらないと何度も明らかにしてきた」と強調した。

この間、憲法改正を巡って、大統領の任期を現行の5年から4年に短縮し、再選を可能とする改憲案が議論を呼んでいた。

李大統領はホルムズ海峡への派兵問題に関し、「戦争に関与したり介入したりする派兵はない」と断言。「そうした形の軍資産派兵(派遣)はないとの原則を守ってきた。今後もこの原則に変わりはない」と語った。ただ、ほかの国のように、自国の商船や原油輸送路、国民の生命と安全を守るための最低限の活動は必要であるとの認識も明確にした。そして2009年以降、海賊対策や船舶保護のためソマリア沖アデン湾に派遣している韓国軍部隊の活動を強化する可能性に言及した。

韓国ではトランプ大統領が求めているホルムズ海峡への派兵を巡る論争が起きている。

朝米対話の過程で韓国が疎外される恐れがあるとの懸念に対しては「『パッシング(素通り)』を憂慮する必要はない」と述べた。

李大統領は、「朝米関係の進展のためにはわれわれ政府が果たす役割があり、朝米協力のためにも政府の役割がなくてはならない」とし、「北と米国の対話再開は南北間の対話再開よりはるかに容易であり、それが南北対話を可能にする」と強調した。

一方、検察改革に関しては「歴史的な課題である不可逆的な検察改革を責任を持って完遂する」と強調した。来月から検察の捜査権が廃止されることへの懸念については「警察の捜査に対する徹底した牽制(けんせい)・補完装置で解消する」と述べた。

自身が抱える刑事裁判の起訴取り下げを巡る論争に関連しては「この場を借りて明確に国会側にお願いする」とし、「現在、議論されている特別検察官法の権限条項のうち、既に起訴された事件の移管や処分に関する条項を削除し、真相究明のみに集中してほしい」と述べた。

与党「共に民主党」は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権下で検察が李大統領ら当時の野党関係者を標的に不当な捜査を行ったとされる疑惑を調べるため、特別検察官を任命する法案を推進している。同法案には特別検査官に起訴取り下げの権限を与える条項が盛り込まれ、野党などが強く反発している。

李大統領は「既存の事件について起訴を取り下げられるようにしようという論争が起こり、不必要に本質が覆い隠されている点を遺憾に思う」とし、このような論争が生じないよう措置を講じてほしいと強調した。 

支持率が就任後最低を更新し続けていることに関しては、「(6月の)統一地方選以降、急な国民の失望と懸念に直面し、当惑した」としながら、「熟考と省察の結果は『常に国民が正しい』ということだ。すべてわたしの力不足」と語った。「より低姿勢で国民に仕える」と述べ、支持回復に向け、国民に寄り添う考えを示した。

高騰する不動産価格を抑制する政策を打ち出せていないことが支持率低下の要因とされているが、李大統領は「不動産市場を必ず安定させる」と強調。8月末の内閣改造で指名された閣僚候補者らの不正疑惑についても、人事のありかたを「再点検しようとしている」と説明した。

李大統領の支持率は下落傾向にあり、姜勳植(カン・フンシク)大統領秘書室長は21日、辞意を表明した。世論調査会社のリアルメーターが14日に公表した調査結果によると、李大統領の支持率は33.8%と9週連続で下落。同社が21日に発表した支持率は1.0ポイント上昇した34.8%で、10週ぶりに上昇に転じた。

緊急行動、李大統領の発言を一旦評価…19日に派兵反対市民大行進

ホルムズ派兵反対運動の結集体である「米国の侵略戦争中止 韓国軍派兵反対 緊急行動(派兵反対緊急行動)」は18日、論評を通じて「李大統領が米国の派兵圧迫にもかかわらず、米国の対イラン軍事行動を支援する派兵はしないと宣言したことは幸い」と評価。「この宣言に基づきすべての軍事支援を拒否し、米国の侵略戦争の即時中止とホルムズ海峡の安全航行のための外交努力を求める」と明らかにした。

一方で、ソマリア沖アデン湾に派遣している韓国軍部隊の活動を強化する可能性に言及したことに対しては、事実上の軍事支援につながると憂慮を示し、情報公開を要求した。

派兵反対緊急行動は19日、ソウル市内で12日に続いて「ホルムズ派兵反対 第2次市民大行進」を開催。参加者は、ホルムズ海峡の安全航行を名目にした「貢献」が実質的な軍事支援となることに憂慮を示し、「ホルムズ派兵反対国会国民同意請願(9月17日~10月17日)」への協力を訴えた。

進歩党は中央委員250余人が20日、国会で記者会見を開催し、米国の派兵圧迫と対米投資要求に政府が断固として対応することを求めた。

日本では韓統連が各地でピースアクションを展開し、派兵反対を訴えた。(「活動報告」参照)

李大統領、国連演説…「南北米中の協力で平和体制の構築を」 

李大統領は22日(現地時間)、ニューヨークの国連総会で一般討論演説を行い、「朝鮮半島の平和体制は長年にわたり、南北はもちろん、米国や中国などの関係国もその必要性に共感し、議論してきた課題」として、「何より最も重要な課題は朝鮮半島での長い戦争を終わらせ、平和体制を構築すること」と強調した。 

また、トランプ大統領が朝鮮との対話に意欲を示していることに言及し、「幸い、トランプ大統領の決断で変化の可能性が生まれた」とし、「韓国は米朝対話が速やかに再開され、朝鮮半島の戦争終結と平和体制への移行に向けた当事者間の対話に発展するための足場を築いていく」と述べた。

ホルムズ海峡を巡っては、エネルギー供給網を守る連帯を提案し、「建設的貢献国の連帯」を提唱。「公共財を供給できる能力と意志がある国が協力を拡大しなければならない」として、「建設的貢献国の連帯を通じ、協力の幅を広げていくことが重要だ」と述べた。また、国際秩序と国連の機能を尊重し、柔軟かつ開放的な方法で協力の範囲を拡大していくよう呼びかけた。

韓米首脳会談、朝鮮半島の平和を巡り緊密な連携確認

李大統領は22日(現地時間)、ニューヨークでトランプ大統領と首脳会談を行った。青瓦台(大統領府)の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は「両首脳は二国間の投資を巡る議論に大きな進展があったことを歓迎した」と明らかにした。

両首脳は昨年の首脳会談の結果をまとめたジョイント・ファクトシート(共同説明資料)に基づき、韓国が建造する予定の原子力潜水艦の燃料問題や造船業協力、米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国への送還などを巡る協力を強化することで一致。協議を継続することを確認した。

トランプ大統領は朝鮮との対話再開への意欲を改めて表明。両首脳は「ピースメーカー(米国)」と「ペースメーカー(韓国)」として朝鮮との対話の糸口を見いだし、朝鮮半島の平和定着に向けて緊密に意思疎通することを申し合わせた。

会議では「(青瓦台)ホルムズ派兵に関する協議はなかった」ようだ。

李大統領に「常に国民が正しい」の実践を求める

李大統領が18日の記者会見で懸案のホルムズ海峡への派兵問題に関して「戦争介入となる派兵はない」と断言したことは、緊急行動をはじめとする市民社会はもちろん進歩党など進歩改革政党からも評価を受けた。この間の派兵反対運動の高揚とそれがつくり出した国民世論が李政権に好影響を及ぼした。

しかしまだ安心はできない。ホルムズ海峡の安全航行のためとして非戦闘形態の「貢献」が取りざたされており、李大統領は国連でも「建設的貢献国の連帯」を強調した。米-イラン間の戦争状態において、ホルムズ海峡の安全航行のために韓国軍が掃海・哨戒活動などをしたとしても、イラン側がそれを非戦闘行為だと認める前提も保障もない。すでにイラン政府は韓国政府が米国の要請に応じないよう警告を発している。

トランプ政権によるホルムズ派兵要求に関して一切の支援をしないことを、李政権は決断し国民に約束しなければならない。同盟国だからと米国の侵略戦争に加担する必要は全くない。そもそも憲法(第5条)は侵略戦争を否認している。

李大統領は18日の記者会見で低支持率を念頭にしながら、「常に国民が正しい」「より低姿勢で国民に仕える」と発言した。その考えを実践に移すときである。

(9月23日)

※写真-緊急行動によるホルムズ派兵反対のデモ行進