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情勢解説

「非核化より対話再開」…李政権は「朝鮮の核」を認め、対朝鮮3原則の具体化を図れ

統一部長官、対北政策「非核化より対話再開先決」

鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は7月23日、25日で就任から1年を迎えることを受け、同部庁舎で記者団と懇談した。

鄭氏は李在明(イ・ジェミョン)政権の北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)政策について、前政権が掲げた「非核化先行」や「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVIV)」を事実上撤回し、対話再開などの平和構築を先に推進し、核・ミサイル活動の凍結を段階的に求めていく戦略を具体化したと説明した。

鄭氏は方針転換の理由について、「今この瞬間も北の核開発は進んでいる」とし、「時間を無駄に引き延ばしていてよいのかという問題意識が統一部や政府内にある」と指摘した。

また「超大国である米国や中国も非核化先行論を事実上あきらめた」とし、「前政権が非核化先行を主張していたのは、多分に国内政治向けだった」と批判した。

その上で、「断絶した北との対話を再開することが先決であり、非核化を前提にしていては対話が開かれないという問題意識を込めたものが、非核化先行論の撤回と平和優先論への転換だ」と説明した。

鄭氏はこの日配布した資料を通じて、非核化の前段階であっても北朝鮮が核増強を一時中断すれば、それに見合う対価を提供するという現実的な解決策を模索していると説明。まず「朝鮮半島平和体制」の構築に向けた議論に着手し、北朝鮮が核活動を中断しやすい環境を整える方針を示した。

米朝対話の再開時期については、「9月に予定される中国の習近平国家主席の訪米と米中首脳会談、11月に予定されるトランプ米大統領の訪中と首脳会談のタイミングが重要な機会になる」とし、「その時期に動きを起こすためには、われわれが8〜9月に手をこまねいていてはならない」と強調した。

鄭氏は、李政権の北朝鮮政策である「朝鮮半島平和共存政策」の履行戦略として「統一を目指す平和的な2国家関係」を提示したことを過去1年の主要成果としてあげ、北朝鮮側の「敵対的な2国家」を乗りこえる南北関係の新たなパラダイムとして確立したと自負した。

鄭氏は「李大統領が(大統領直属の諮問機関)民主平和統一諮問会議(民主平統)の行事で、北朝鮮の体制尊重から一歩踏み込んで『主権尊重』にまで言及した」とし、「これは『統一を目指す平和的な2国家関係』と同じ趣旨のものだ」と説明した。これは、李大統領が民主平統ユーラシア会議(7月1日、仁川)で「南と北が互いの体制と主権を尊重し、平和に共存できる道を必ず見つける」と述べたことを指している。

世論調査、李政権の対北朝鮮政策「肯定的」49.2%「否定的」37.6%

民主平統が24日に公表した世論調査結果によると、李大統領の対北朝鮮政策について、肯定的に評価すると回答した人は49.2%(「とても肯定的」が20.1%、「やや肯定的」が29.1%)だった。否定的に評価すると答えたのは37.6%(「とても否定的」が21.6%、「やや否定的」が16.0%)だった。

下半期に優先的に推進すべき対北朝鮮政策としては、「朝鮮半島の平和と安定のための国際協力」(34.9%)を選んだ人が最も多かった。次いで、「南北対話チャンネルの回復と接触の再開」(23.6%)、「分断による苦痛の解消と人道問題の解決に向けた取り組み」(10.8%)、「北の憲法改正(2国家論)に対する法的・制度的な対応」(10.0%)、「平和統一への共通認識拡大」(9.8%)の順だった。

北朝鮮が憲法から「統一」に関する記述を削除したことへの対応を尋ねると、「統一を目指しつつ、当面は平和的共存を優先すべきだ」との回答は39.7%、「統一を目指しつつ、当面は南北が別々の国として生きるべきだ」は24.3%、「統一を目標とするよりも、南北を別々の国家関係として確立すべきだ」は22.4%だった。「統一を積極的に推進すべきだ」との回答は9.4%にとどまった。

統一の必要性に関しては、「必要」との回答が64.1%(「とても必要」が28.6%、「ある程度必要」が35.5%)だった。調査を始めた2015年以来、最低を記録した23年10~12月期調査(64.0%)と同水準だった。

北朝鮮に対する認識については「警戒・敵対の対象」が47.4%で、「協力・支援の対象」の39.8%を上回った。

民主平統は4半期ごとに一般国民と専門家を対象に、南北統一に関する世論調査を実施している。今回の調査は6月12~14日、全国の19歳以上の1200人を対象に行われた。

朝鮮外務省「非核化は最終的に廃棄された問題」、金与正氏「核能力絶えず更新」 

朝鮮の外務省報道官は24日に発表した談話で、韓米日外相が東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合に合わせて開いた会談で、朝鮮半島非核化の方針を再確認したことについて、「非核化は不可逆的かつ最終的に廃棄された問題だ」と反発した。朝鮮中央通信が伝えた。

3カ国の外相はASEAN関連会合が開かれたフィリピン・マニラで22日に会談し、朝鮮半島の非核化を目指す方針や、北朝鮮を抑止する堅固な体制を維持することを申し合わせた。

金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の妹、金与正(キム・ヨジョン)党総務部長は27日、朝鮮中央通信を通じて談話を発表し、「朝鮮半島の完全な非核化」に言及したASEAN地域フォーラム(ARF)の議長声明を「情けないにも程がある」と非難し、朝鮮の核能力は「一瞬の停滞もなく絶えず更新される」と強調した。

25日に発表されたARFの議長声明では、インド太平洋地域の外相らが北朝鮮の核・ミサイル計画に懸念を示し、国連安全保障理事会決議の履行と非核化、対話を促した。声明には昨年に引き続き「朝鮮半島の完全な非核化」という表現が盛り込まれた。

統一部と外交部、北朝鮮核問題巡り温度差か

統一部の尹敏灝(ユン・ミンホ)報道官は27日の定例記者会見で、金与正氏の談話について、「国際社会との協力を通じて核のない朝鮮半島を実現していくという既存の立場に変わりはない」とした上で、「北朝鮮核問題が日増しに深刻化していることを踏まえ、まず核開発の停止に重点を置き、現実的かつ実用的な解決策を講じていく」と述べた。

今回の統一部の見解は鄭氏の23日の説明を改めて確認したものと受け止められる。

一方、外交部当局者は金与正氏の談話について「政府は『平和共存と共同成長』のビジョンのもと、核のない朝鮮半島の実現に向けて努力している」とコメントした。

また「朝鮮半島の非核化は、多数の国連安全保障理事会決議で確認された国際社会の一貫した目標だ」とし、「政府は国際社会との緊密な連携のもと、朝鮮半島の平和と核問題解決に向けた実質的な進展を実現するための努力を続けていく」と強調した。

統一部と外交部の双方が「核のない朝鮮半島」に言及しているものの、統一部が「停止、削減、廃棄」と続く李政権の3段階の核問題解決策のうち第1段階の「停止」を強調したのに対し、外交部は最終目標が非核化にあることを再確認した。

これを受け、北朝鮮核問題へのアプローチを巡る統一部と外交部の温度差が浮き彫りになったのではないかとの見方も出ている。

李政権は「朝鮮の核」を認め、対朝鮮3原則の具体化を図れ

「世界の非核化」を実現する上で、「朝鮮半島の非核化」さらには「東アジアの非核化」が重要であることは明らかだ。しかし、将来的に必要な課題ではあることを認めつつも、現在すぐに解決できる国際・地域情勢ではないのは事実。

歴代米政権による対朝鮮敵視政策、特に米国の朝鮮に対する核威嚇・脅威が結果的に朝鮮に核武装の道を選ばせた。韓国はその米国と従属的な軍事同盟関係にあり、米国の「核の傘」の下にある。

朝鮮が核兵器保有国となった原因を除去しないままに、いたずらに「朝鮮の非核化」(※本来は違うが、同様の意味として意図的に使われる「朝鮮半島の非核化」も含め)だけを主張しても事態は進展しない。

李大統領が提案した北核問題解決のための3段階アプローチ「停止、削減、廃棄」も北核問題発生の原因を無視した、一方的な「廃棄のための段階論」といわざるをえない。金委員長は同提案を即座に拒否している。

朝鮮の核兵器保有を事実として認定し、朝鮮に対する敵視政策を撤回することが、李政権が望む「南北平和共存」へと進む第一歩である。「認定」と「撤回」は表裏の関係にあり、相互に連関しながら南北関係の改善に向けて大きな効果を生むはずだ。

そのためには、李政権が「平和共存」のために掲げる対朝鮮3原則「体制尊重、吸収統一排除、敵視行為否定」をスローガンで終わらせるのではなく、該当法体系の整備も含めて、具体性と実効性をもった政策として推進しなければならない。あわせて、統一部と外交部の間に対北政策のずれがあるとすれば、李大統領自らが政策に対する理解を一致させ、政策を一体となって推進する体制をつくるべきである。国民もそう望んでいる。

対朝鮮3原則を具体的に実行しようとすれば、米国は自国の利益を優先し不当な支配と干渉を加えてくると予測される。例えば、敵視行為の最たるものである韓米合同軍事演習の縮小・中止を韓国政府が提案しても、米政府は容易には受け入れないだろう。しかし、そこからが李政権の正念場である。同盟関係を優先して妥協するのはなく、国民に支持と声援を訴え、それを力にして堂々と米国と渡り合う努力をすることである。対米従属を今まで通り続けていては、3原則の具体化どころか平和共存の実現もおぼつかない。トランプ米政権が「同盟の現代化」の名の下に、韓国を中国に対する前進基地にしようとする極めて危険な情勢を前にしてはなおさらである。

李政権は、「光の広場」の中から誕生した「国民主権」政府であり、「国家主権」政府でもある。自主の重要性を対内的に訴え、そうして生まれる自主の力を対外的に発揮すべきである。

(7月30日)