情勢コーナー
米国政府は韓国政府に対する不当な圧迫と干渉を即時中止しろ
在韓米軍司令官「有事統制権29年3月までに返還」
在韓米軍のブランソン司令官は4月22日(米東部時間)、米軍主導の韓米連合軍が持つ有事(戦時)作戦統制権の韓国軍への返還について、「2029会計年度の第2四半期以前に条件を完了するためのロードマップを国防総省に提出した」と米下院軍事委員会の公聴会で答弁した。また「政治的便宜主義が条件に先立ってはならない」と発言した。
米国の会計年度は前年の10月から1年で、2029会計年度の第2四半期は2029年1~3月に当たる。
ブランソン氏の発言は作戦統制権の返還に向け、遅くとも29年3月までに条件を備えるための行程表が策定されたことを示唆する。李在明(イ・ジェミョン)大統領は任期中の作戦統制権返還の実現を目指している。
国防部のチョン・ビンナ報道官は23日、返還時期は韓米軍事当局の提言に基づき、10月に開催される韓米安保協議(SCМ)で両国の国防相が決定し、各大統領に報告される予定だと述べた。
米国が北朝鮮情報共有を制限
青瓦台(大統領府)の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は、李在明大統領に同行して訪れたベトナム・ハノイで23日(現地時間)に開いた記者会見で、米国が鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官の北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)ウラン濃縮施設の所在地・亀城を巡る発言に抗議し、北朝鮮情報の共有を一部制限した問題について、「米国と意思疎通している」とした上で、「(協議の)内容をすべて公開することはできないが、出口を見いだすため努力している」と述べた。今回の事態が起きた背景については、「韓米間のわずかな認識の違い」との見解を示した。
鄭氏は亀城にウラン濃縮施設があるというのは米国から提供を受けた情報ではなく、すでに公開されている情報との立場だが、米側は韓国に提供した情報を事前の協議なしに公表したと考えているという。
その後、米国が韓国側への共有を制限した情報が、北朝鮮の核施設関連の衛星情報であることが分かった。韓国政府関係者は28日、米国が情報提供を一部制限しているものの、「われわれが保有している衛星を積極的に活用し、偵察や監視を支障なく行っている」と明らかにした。
クーパン問題で米の圧迫に糾弾の声
「共に民主党」と祖国革新党、進歩党、社会民主党の議員90余人は28日、国会で「クーパン関連、米国政治圏の司法主権侵害圧力に対する糾弾記者会見」を開催。議員は米大使館に抗議書簡を伝達した。参加者は、韓国ネット通販最大手のクーパンが起こした個人情報の流出、不公正な取引、労働問題は「韓国の法と手続きで処理すべきであり、どんな企業も例外ではありえない」と主張した。クーパンの親会社は米国企業クーパンInc.。
抗議書簡では△韓国の司法主権および独立した法執行を全面的に尊重すること△特定個人(※社長を指す)の司法手続きと外交・安保協力を連係しないこと△この件に関連する不当な圧力を即時中止することを要求した。
これに先立ち、米共和党下院議員54人は21日(現地時間)、カン・ギョンファ駐米大使に公開書簡を送り、韓国政府はクーパンのような米企業を狙った「差別的規制」を中止すべきだと要求していた。
禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長も24日、ラジオ番組でクーパンと米議員に向け「韓国民に礼儀を持つべき」と厳しく指摘した。
全国民衆行動は22日、論評を通じて「国権侵奪と外交欠礼」だと非難した。
魏聖洛国家安保室長は記者会見(23日、ベトナム・ハノイ)で「クーパンの問題は法的手続きに沿って進め、安保協議は(関連させずに)別途に進めるとの立場で米国と協議中」と説明した。
李大統領の韓米関連発言
李大統領は28日の閣議で、先ごろのインド・ベトナム訪問の成果を説明した上で、「伝統的な友好国との協力もさらに発展させるべきだ」と述べ、「相互尊重と常識、原則に基づいて当面の課題を解決し、健全な未来志向の関係を構築する知恵が必要だ」と強調した。また、「主権国家として堂々と、友好国と真の友情を築く外交に注力する」と述べた。
李大統領はまた、軍事・安全保障上の不安が一部で指摘されているとしながら、「国家は国家自身が守るべきものだ。なぜ(外国に)依存するのか」と述べ、「当然、十分に可能だ」と強調した。
李大統領は在韓米軍を除いた韓国単独の軍事力は世界5位の水準で、年間の国防費支出は北朝鮮の国民総生産の1.4倍に上り、防衛産業の輸出も世界4位に浮上したと強調。「なぜ外国の軍隊がなければ自主防衛は難しいという不安を抱くのか」と疑問を呈した。
また、米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国への返還に関し、「自ら防衛し、戦略・作戦計画を立てる準備をすべきだ」と述べた。
米国は韓国への圧迫・干渉を中止しろ
李大統領の発言(28日)は、鄭統一部長官の北朝鮮ウラン濃縮施設の所在地を巡る発言に米国が抗議し、北朝鮮情報の共有を一部制限した問題や、韓国ネット通販最大手クーパンの情報流出に対する捜査を巡り、米側が親会社である米国企業クーパンInc.に対する差別的規制の中止を求めている問題など、韓米間の懸案を念頭に置いたものとみられる。
実際には、懸案というより米側の一方的で不当な措置であり、鄭長官に関連しては、同長官が△韓米合同軍事演習の縮小△DМZ管轄権の韓国軍への移管を主張してきたことに対する米側からの報復だといっても過言ではない。
李大統領は表現に留意しているようだが、「主権国家として堂々と」と述べた部分に現段階では注目し、今後の対米姿勢がそうした自主的な方向に進むのか見極めなければならない。
有事作戦統制権(以下、統制権)については、国家主権の観点から早急に韓国に返還されてしかるべきであり、李大統領は自主国防の必要性を強調しながら、任期内の返還を目指している。
しかし、ブランソン司令官が示した返還スケジュールは、米国が大統領選挙を経て次期政権が出発する政治的変動期にあたり、韓国も李政権4年目を経ながら次期大統領選挙の局面へと進んでいる時期である。つまり2029年初めに返還条件が完了しているとしても、政権交代・選挙局面の政治情勢の中で、実質的に統制権の返還を推進できるかは不透明だ。米側はそのことを理由にしながら返還時期を延期することも可能だと考慮していると思われる。
また「政治的便宜主義」との言葉で韓国側が切望する早期返還の要求を牽制(けんせい)、遮断し、決定権はあくまで米側にあるといわんばかりの傲慢(ごうまん)な姿勢も、統制権を返還する意志が真にあるのか疑わせるのに十分だ。
統制権は主権国家として保持すべき当然の権利であり、国家主権の重要な構成部分だ。歴史的過程があるとしても、統制権を韓国政府がいまだに保持していないこと自体が異常である。
トランプ政権によるベネズエラとイランへの不当な先制攻撃と、それと関連した同盟国・同志国に対する一方的な軍事支援要求を勘案すれば、米国が韓国軍の統制権を行使できる現状は危険極まりないといえる。米国が約束どおり統制権を返還するのかどうか不確実な状況では、なおさら「早期に無条件で返還」の世論を高めることが必要であり重要だ。
(5月6日)
※写真-国会議員のクーパン糾弾記者会見



