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情勢解説

李在明氏、大統領に当選…「国民の勝利」…広場-連合政治の時代を切り開こう!

前大統領・尹錫悦(ユン・ソンニョル)の罷免を受けて、6月3日に投開票された第21代大統領選(大選)で、「共に民主党」の候補であり広場大選候補の李在明(イ・ジェミョン)氏が当選した。得票率は李氏が49.42%、「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補が41.15%、改革新党の李俊錫(イ・ジュンソク)候補が8.34%、民主労働党の権英国(クォン・ヨングク)候補が0.98%だった。李氏は史上最多の1728万7513票を獲得。投票率は79.4%で、2000年以降では最高値を記録した。

在外投票は先月20~25日に118カ国・地域の223カ所の投票所で実施され、投票率は過去最高の79.5%を記録。66.4%(13万6246人)は李在明候補を、21.4%(4万3893人)は金候補を選択した。

韓統連の宋世一(ソン・セイル)委員長は声明「広場大統領選候補・李在明氏の当選を歓迎し祝賀する」を発表した。(別掲)

李氏「必ず内乱克服・国民生活取り戻す」

李在明氏は4日未明、国会があるソウル・汝矣島で演説し、「皆さんがわたしに託した第1の使命である内乱を克服し、銃剣で国民を脅かす軍事クーデターが2度と起こらないようにする」と述べた。李氏は「民主主義を回復し、国民が主権者として尊重され、協力しながら共に生きる世の中をつくるという使命を果たす」と表明。「経済を回復させ、国民の生活を取り戻す」として、「皆さんの厳しい生活を最も早期に最も確実に回復させる」と強調した。

また、「国民の命と安全を守る国の第1の責任を完璧に果たす」と誓った。

安全保障については「平和で共存する安定した朝鮮半島をつくる」とし、「確固たる国防力で北に対する抑止力を行使しながら、戦って勝つよりも戦う必要のない平和をつくることが真の安全保障という確信を持って南北間で対話し、交流する」と述べた。そのうえで、「(南北が)共存し、協力して共同で繁栄する道を探る」とし、「朝鮮半島情勢を可能な限り迅速に安定させて『コリアリスク』を最小化し、朝鮮半島の安全保障のため国民の生活が悪くならないよう最善を尽くす」と表明した。

李大統領の任期は4日午前6時21分、正式に始まった。今回の大統領選は前大統領・尹錫悦の罷免に伴って実施されたため、選管が当選者を決定すると同時に新大統領の任期が始まった。

李大統領は4日、国会で就任宣誓を行った後、国民へのメッセージで「希望の新しい国のための国民の命令を峻厳に受け止める」とし、今回の大統領選でどの候補を支持したかに関係なく全ての国民を統合させ、全ての国民に仕える「皆の大統領になる」と表明した。

広場市民連帯、「李氏当選は国民の勝利」

広場大選連合政治市民連帯は4日、今回の大統領選の結果に対し「内乱の完全な終息と清算、新しい大韓民国を念願する国民の勝利」だとする立場を表明した。また「1000万広場の市民が念願した内乱極右勢力の清算と社会大改革の土台と礎石がつくられた」とし、「戒厳と内乱の清算を求める広場のデモを共にした李在明大統領が、広場の市民と疎通しながら、共同で宣言した社会大改革を推進していくよう望む。共に連合政治の時代、国民主権の時代を切り開いていこう」と主張した。

全国民衆行動は5日、ソウル光化門で記者会見を開催。参加者は「偉大な国民が結局勝利した」「だが内乱・極右勢力は清算されておらず再び蠢動している」とし、「内乱首謀者・尹錫悦を即刻再拘束しろ」「内乱特検、内乱特別法で真相究明、責任者処罰、再発防止を成し遂げよう」と訴えた。

特別検察官3法案、成立

2023年7月に起きた海兵隊員殉職事故を巡る疑惑、尹錫悦の「非常戒厳」宣言を巡る内乱事件、夫人・金建希(キム・ゴニ)を巡る疑惑をそれぞれ政府から独立して活動する特別検察官に捜査させる三つの特別法案が5日、国会本会議でいずれも賛成194票、反対3票、棄権1票で可決された。

3法案は尹錫悦前政権で野党だった共に民主党が主導し2~4回、国会で可決されたが、大統領が再議要求権(拒否権)を行使して国会に差し戻され、いずれも再議決で否決されていた。

李大統領は10日の閣議で3法案を決定した。

李大統領、トランプ大統領と初の電話会談

李大統領は6日夜、就任後初めてトランプ米大統領と電話会談を行った。

大統領室の姜由楨(カン・ユジョン)報道官によると、トランプ氏は李氏が大統領選で勝利したことに祝意を示した。李氏は謝意を示したうえで韓国外交の根幹である韓米同盟の重要性について言及した。

姜報道官は「両首脳はお互いのリーダーシップを高く評価し、今後韓米同盟の発展のために緊密に協力することで一致した」と説明した。

また両首脳は韓米間の関税協議について、両国が共に満足できる合意に早期に到達できるよう努力することで一致。実務協議で目に見える成果が出るよう後押しすることを申し合わせたという。

ルビオ米国務長官は4日、李氏が当選したことを受け、米国政府を代表して公式声明を発表し、韓米日3カ国の協力など安全保障、経済分野での協力強化を期待すると表明した。

李大統領、石破首相と初の電話会談

李大統領は9日正午、就任後初めて石破茂首相と電話会談を行った。

姜報道官によると、李氏は石破氏からの大統領就任の祝意に謝意を表した。また、両首脳は相互尊重と信頼、責任ある姿勢に基づき、より強固で成熟した関係を構築していくことで一致した。

李氏は現在の戦略的な環境の中で韓日関係の重要性が一層増していることを強調し、「両国が相互の国益の観点から将来の挑戦課題に共に対応し、共存できる方向を模索していくことを期待している」と述べた。特に、国交正常化60年を迎えた今年、両国国民の活発な交流を後押しし、当局間の意思疎通も一層強化していくことを確認した。

両首脳はこれまでの韓米日の3カ国協力の成果を評価し、今後も3カ国の協力の枠組み内でさまざまな地政学的な危機に対応するため努力していくことでも一致した。

李大統領、習主席と初の電話会談

李大統領は10日、就任後初めて中国の習近平国家主席と電話会談を行った。

姜報道官によると、習氏は李氏の大統領就任に祝意を伝え、「新政権と中韓戦略的協力パートナー関係の発展に向け協力していきたい」と述べた。李氏は「両国が互恵・平等の精神に基づき、経済・安全保障・文化・人的交流などさまざまな分野で活発な交流や協力を進めることを望む」と応じた。

李氏は朝鮮半島の非核化や平和、安定のために中国が建設的な役割を果たすよう要請し、習氏は「朝鮮半島の平和と安定は両国の共同利益のため、問題解決や朝鮮半島の平和と安定のため努力する」と述べたという。

進歩党、以後の重点課題を提示

進歩党院内代表の尹鍾五(ユン・ジョンオ)議員は11日、国会で記者会見を開催し、以後の重点課題を次のように提示した。△「反憲法行為特別委員会」設置による内乱勢力の清算△社会大改革のための与党との協力および4野党の共助の強化△500万人労組時代の実現△糧穀管理法・農民基本法の制定△差別禁止法など性平等立法の推進△議員室-産別業種労組の定例協議会の構成△国会3大(政治改革、憲法改革、韓米通商)特別委員会の構成など。

尹氏はこれを土台に「2026年地方選挙でこれまでで最多となる自治団体長と議員を輩出し、内乱勢力を地方から追い出し、下から社会大改革を完成する迎え水となる」と表明した。

一方、共に民主党議員の政府への転出に伴い、進歩党の孫率(ソン・ソル)氏が比例代表で繰り上がり、同党の国会議員は4人となった。

広場-連合政治の時代を切り開こう

共に民主党の候補であり広場大選連合政治市民連帯と5野党(共に民主党、祖国革新党、進歩党、基本所得党、社会民主党)の共同候補である李在明氏が当選し、李政権が誕生した。憲政秩序を守護するために闘ってきた広場の市民と野党の勝利であり、以後は内乱勢力の清算と社会大改革の実現に邁進しなければならない。

5月9日に発表された市民連帯と5野党の共同宣言(NL108号・HP掲載)では、内乱勢力の清算について、「内乱行為に対する徹底した真相究明と法的責任を問うために、特別検察法を推進し、『反憲法行為特別調査委員会』を設置する」とした。特別検察法の迅速な国会通過と閣議決定はこれに沿ったものであり、続けて同調査委員会の設置も急がれる。

また、共同宣言では社会大改革について、「市民社会と諸政党が参与するガバナンス(統治)体系である『社会大改革委員会』を発足させ、深い協議を推進する」とした。改革課題には、「南北間の平和・協力体系を構築し、国益中心の実用外交を復元し、互恵・平等の国際秩序を形成する上で先頭に立つなど、平和と主権が実現される」ことをあげており、尹政権下で深化した対朝鮮対決政策と対米・対日従属外交、韓米日軍事協力などをこの方向で是正することが重要であり、そのためにも社会大改革委員会の発足は必須だ。

新政権には、共同宣言に明示された方向性と課題を、宣言を共にした広場と野党との連帯と協力で進め実現することが求められている。広場の市民は既成政治圏に任せてしまうのではなく、共同宣言に基づきながら李政権をけん引・後押しし、時にはけん制することを自らの使命としなければならない。これは国民主権の発露でもある。こうした意識と行動が広場-連合政治の時代を本格的に切り開いていくだろう。

(2025年6月11日)