情勢コーナー

情勢解説

圧倒的な政権交代で内乱勢力を清算し社会大改革を実現しよう

「共に民主党」、李在明氏を大統領選候補に選出

第1野党「共に民主党」は4月27日、大統領選(6月3日投開票)の公認候補に李在明(イ・ジェミョン)前代表を選出した。

李氏は受諾演説で「政権奪還を通じて新しい国、本当の大韓民国をつくる機会を与えてくださった。必ず勝利し、政権を奪還する」とした上で、「より低姿勢で政治の使命であり大統領の第1課題である国民統合の責任を確実に完遂する」と表明した。

そして、「今この瞬間から李在明は共に民主党の候補であり、内乱終息と危機克服、統合と国民の幸福を切に願う全ての国民の候補だ。新しい世の中のために李在明の勝利ではなく国民の勝利をつくっていく」と述べた。

「広場大選連合政治市民連帯」が発足

市民社会各界人士で構成された大統領選(大選)のための共同対応機構である「広場大選連合政治市民連帯」(広場大選政治連帯)が4月30日、国会本館前で記者会見を開き、正式発足した。これは、尹錫悦を罷免した広場の市民と民主憲政を守護する野党が大統領選を前にして、強力な連帯を継続し、圧倒的な政権交代を実現する意志を結集したもの。

広場大選政治連帯は「内乱清算・内乱勢力再執権阻止」「圧倒的政権交代」「社会大改革」の実現を目標に、△民主進歩改革政治勢力間の政治連合△圧倒的勝利のための連合候補(一本化候補)選定△内乱清算・改憲推進日程・社会大改革のための論議機構構築△有権者運動を展開する予定。

広場大選政治連帯は「非常行動」に参与した諸団体の代表ら58人が28日に提案。その後、5野党・円卓会議との協議を経てこの日の発足に至った。同連帯には全国から301人の団体代表らが名前を連ねた。発足には5野党の代表らも参加し、広場大選政治連帯の趣旨に応答した。(発足宣言は別掲)

民主労総10万人、「メーデー大会」を開催

民主労総が5月1日、ソウル市内で「2025メーデー大会」を開催。スローガン「わたしたちの力で新しい社会」を掲げ、結集した10万人組合員らは市民と連帯し、労働権の保障など社会大改革の実現に取り組むと決意した。民主労総は大会に先立ち、大統領選挙に向けた社会大改革の要求を発表する記者会見を開催した。

民主労総は7日、進歩党のキム・ジェヨン大統領選候補と、内乱勢力の清算・社会公共性の強化・全労働者の労働権の保障を込めた政策協約を結んだ。

検察、尹錫悦を職権乱用罪で追起訴

前大統領・尹錫悦(ユン・ソンニョル)が宣言した「非常戒厳」について捜査する検察の特別捜査本部は5月1日、尹錫悦を職権乱用罪で追起訴したと発表した。

検察は1月26日、当時大統領だった尹錫悦を内乱首謀罪で起訴した。韓国大統領は在職中、刑事訴追を受けないと憲法で規定されているが、内乱罪と外患罪は除外されている。

憲法裁判所の弾劾裁判で尹錫悦の罷免が決まり、検察は補完捜査を経て職権乱用罪での追起訴を決めた。

大法院、李在明氏関連2審無罪判決を破棄差し戻し

大法院(最高裁)は5月1日、公職選挙法違反に問われた李在明氏の2審無罪判決を破棄してソウル高裁に審理を差し戻した。これについて、共に民主党は4日、曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長を批判した。

同党の大統領選常任共同選挙管理委員長を務める金民錫(キム・ミンソク)国会議員は同日、記者会見を開き、大法院が3月28日に検察の上告を受理してから異例の速さで事件を審理し、5月1日に無罪判決を破棄したことに言及。大法院の裁判官は本当に6万ページに上る裁判資料を短期間に読むことができたのかと問い、あまりにも迅速な上告審の判断には政治的意図があったのではないかと疑問視した。

その上で、国民は本当に裁判官が資料を読んだのかを知りたがっているとし、国民の要望に答えられなければ、最終的に曺氏が責任を取らなければならないと主張した。

上告審では大法院の裁判官12人のうち10人が無罪の破棄を支持したが、この10人は曺氏を含めて尹錫悦が大統領時に任命した裁判官。

金氏は今回の大法院の判断について、尹錫悦による「非常戒厳」宣言、尹錫悦の大統領代行を務めた韓悳洙(ハン・ドクス)前首相と崔相穆(チェ・サンモク)前経済副首相兼企画財政部長官の独断的な政治に続く、「第3の内乱」だとして曺氏を非難した。

そのうえで曺氏に対する国会の聴聞会開催や国政調査の実施、政府から独立した特別検察官による捜査が必要だと主張した。

6万ページの裁判資料を閲覧した過程の公開を求める署名運動は3日に始まり、5日には100万人を突破した。

広場大選連合政治市民連帯は5日、国会本館前で非常時局宣言を発表し、「大法院の明白な政治介入であり、曺氏は即刻辞退しろ」と要求した。この場には野党代表らも参加し、大法院に向けて共に非難の声をあげた。

こうした中、ソウル高裁は差し戻し審の初公判を15日に行うとしていたが、6月18日に延期すると7日、明らかにした。大統領選前に李氏の有罪が確定し、立候補資格を失う可能性はなくなった。

韓悳洙氏、大統領選への立候補を表明

5月1日に首相を辞任した韓悳洙氏は2日、記者会見を通じて大統領選への立候補を表明。「(大統領就任)初日に大統領直属の改憲支援機関をつくり、改憲の成功に向け総力を尽くす」とし、「(任期)3年目に新しい憲法に基づき総選挙と大統領選を実施した後、直ちに職を辞する」と述べた。

野党は、首相として戒厳・内乱の責任を回避し続けた上に、大統領権限代行を投げ出し立候補した韓氏を厳しく非難した。

韓氏の辞任に伴い、崔相穆氏が再び権限代行する予定だったが、崔氏は国会本会議に自身の弾劾訴追案が上程されたことを受け、辞任を表明。李周浩(イ・ジュホ)社会副首相兼教育部長官が代行することになった。

 韓氏は2日、光州の5・18国立民主墓地を参拝しようとしたが、市民に拒否された。5・18関連団体は声明を通じ「光州民主化運動を『光州事態』と呼ぶ韓悳洙は、自ら内乱同調勢力であることを示している」とし、謝罪などを求めた。

「国民の力」、金文洙氏を大統領選候補に選出

旧与党「国民の力」は5月3日、公認候補に金文洙(キム・ムンス)前雇用労働部長官を選出した。

金氏は前大統領・尹錫悦の下で首相を務め、尹錫悦に対する弾劾・罷免の反対派。

野党は同党の候補に金氏が確定したことに対し「(同党が)内乱政党であることを示した」などと非難した。

金氏は受諾演説で「李在明氏の執権を防ぐためにはどんな勢力とも強力に連帯する」と訴え、立候補を表明した韓悳洙氏との一本化に意欲を示した。

だが、金氏は韓氏との一本化に応じるよう党から圧力をかけられていることに反発し、「活動を中止する」と6日、表明し、韓氏は7日の記者会見で「一本化が実現しなければ大統領選の候補者登録を行わない」と述べる中、両氏は7日午後、協議したが物別れに終わった。

内乱勢力を清算し社会大改革を実現しよう

国民の力の金文洙候補も前首相の韓悳洙候補も、罷免された内乱首謀者・尹錫悦に任命された首相と長官(閣僚)であり、今でも尹錫悦を支持する内乱勢力の核心人物である。彼らは尹錫悦同様、国民に対する謝罪も自らの反省も一切したことはない。すべての責任を回避し自身の行為を正当化するばかりである。こうした政治家が臆面もなく大統領選に立候補する。さらには、改憲を云々しながら内乱勢力の権力復帰を合法化し、一本化を掲げて国民を幻惑しようとする(だが、一本化は順調には進んでいない)。これは主権者・国民に対する重大な愚ろうであり挑戦であると共に、民主主義に対する許せない暴挙だ。

国民の力も第1号党員・尹錫悦を除名することもなく、依然として謝罪も反省もない。同党は党候補として金候補を選出しながら、「反李在明」の共通項だけで党外の韓候補との一本化を強行して金候補の反発を招くという、およそ政党としては常識的に考えられない言動を繰り広げている。まさに内乱政党のなせる業だ。

 このように内乱は終息せず継続している。李在明氏関連裁判への大法院の破棄差し戻しに対し、「司法クーデター」だと厳しい非難の声があがるように、司法府も内乱に加担していると指摘され、公正で中立であるべき司法に対する国民の信頼は失墜している。

広場大選連合政治市民連帯が発足し、5野党・連席会議とのさらなる連帯も明らかにした。内乱勢力の清算と民主憲政の守護を求めるすべての民主勢力が連帯・連合することにより広範で強力な民主連合戦線を構築し、国民のパワーを最大結集しながら大統領選で圧倒的な政権交代を成し遂げることが重要だ。内乱勢力は大統領選挙で敗北したとしても、内乱を構造的に組織的に継続させるつもりでいる。圧倒的な政権交代で内乱勢力を徹底清算し、社会大改革を実現して「新しい大韓民国」をつくり出そう。 (2025年5月7日)

※写真-広場大選連合政治市民連帯の発足