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情勢解説
日本の「ワンシアター」構想、韓国政府は即刻抗議しろ

日本、「ワンシアター」構想を米側に提案
朝日新聞は4月15日、中谷元・防衛相がピート・ヘグセス米国防長官との会談(3月30日、東京)で、日本、米国、豪州、韓国、フィリピンを「ワンシアター(one theater、一つの戦域)」ととらえ、連携を深める構想を伝えたと報じた。シアター(戦域)とは、戦時に「一つの作戦を決行する地域」という軍事用語。
ヘグセス氏はこれを歓迎し、その後の石破茂首相との会談でも同構想に言及し、日米豪韓比が連携する重要性を指摘したという。
韓国国防部、「米日から提案なし」
これに対し韓国国防部は17日、定例会見で「日本側から公式提案を受けたことはない」と線を引いた。同部は「米日長官会談の具体的な内容について言及する立場になく、米側からも関連して伝えられたことはない」と明らかにした。ただ、「正確な事実関係は追加で確認してみる」と余地を残した。
一方、ワンシアター構想が現実化する場合、中国を巡る葛藤に在韓米軍が積極的に関与することになる憂慮に対しては即答を避けた。
韓国政府は即刻抗議しろ
急速に軍事大国化を進めながら米国との軍事協力を強化する日本、中国の台湾侵攻阻止を最優先課題に掲げるトランプ政権。朝鮮半島はいやおうなしに他国の紛争に巻き込まれ戦場となる可能性が増大している。
韓国の安保主権を侵害し朝鮮半島の平和を脅かす、こうした危険な構想を許してはならない。国防部の「言及する立場にない」との弁明は暗に認めているということを意味している。韓国政府は即刻抗議し、しかるべき措置を取らなければならない。国民主権と同様に国家主権も重要である。 (4月23日)
※写真-会談に先立ち握手するヘグセス国防長官と中谷防衛相