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高揚する尹政権退陣闘争…院内外を貫く反尹戦線の構築が進展…2次、3次総決起へと継続

【2024年11月22日】

尹大統領「国民向け談話」発表

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は11月7日、記者会見を開き「国民向け談話」を発表、記者の質問に答えた。

金建希(キム・ゴニ)夫人を巡る疑惑などによる国政の混乱について「全てが私の不注意であり、不徳の致すところ」と述べ、「国民の皆さんに心からおわび申し上げる」と謝罪した。野党が夫人を巡る疑惑を特別検察官に捜査させる法案の可決を目指していることについては、「司法の作用ではなく、政治扇動」と述べ、改めて拒否する考えを示した。

政治ブローカーとされるミョン・テギュン氏との公認取り引き疑惑については「(大統領当選を)祝賀するとの電話にご苦労さまと応じた記憶がある(程度)」と否認した。

また、弾劾要求などを意識したかのように、「以後も、皆様に不便と心配をかけることのないよう最善を尽くす」とし、「2027年5月9日、任期を終える日まで全力で仕事する」と述べ、任期終了まで大統領職を続ける考えを示した。

支持率の低下については、「野球はスコアボードを見てするものではなく、ボールを見て打つものだ」とたとえ、「支持率を上げるために策を考えるつもりもなく、体質にも合わない」と切り捨てた。

尹大統領の談話と会見に対し、「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は「国民の同意を得るのは難しい」と批判。祖国革新党のチョ・グク代表は「大統領の座にこれ以上いる資格はなく、引きおろさなければならない」と主張。進歩党のキム・ジェヨン代表は「民意を集め政権を一刻も早く退陣させなければならない」と強調した。

「1次退陣総決起」などに20万人結集

尹錫悦政権退陣運動本部は11月9日、ソウル崇礼門前で10万人が結集する中、「全国労働者大会・1次退陣総決起」を開催。一帯の車道・歩道はもちろん、ソウル広場近くまで参加者で埋め尽くした。参加者は「これ以上、我慢できない」と、尹政権の退陣と退陣後の社会大転換を声を揃えて求めた。警察は2万人を投入し、事前集会の段階から激しい妨害を加えた。そのため総決起への合流が遅れ、集会も短縮せざるを得なかった。民主労総によれば、妨害に抗議する中で、労組員9人が連行され14人が負傷した。

各界からの発言が続く中、民主労総のヤン・ギョンス委員長は「暴走を止めない尹政権を追い出さなければならない」「政権側にこの国の主人公が誰なのかはっきりと示そう」と訴えた。

参加者は「すべての現場、街頭の各所で尹錫悦退陣国民投票をさらに力強く展開し、怒りの民意を集めて広げよう」「11月20日の2次総決起、12月7日の3次総決起にはさらに多くの市民と共にさらに大きな退陣の広場を開こう」と決議した。

同日午後、都心では尹政権退陣を求める集会が続いた。総決起終了後は同所でキャンドル行動が「114次キャンドル大行進」を展開し、尹大統領の弾劾を求めた。その後は共に民主党も同所で「金建希・尹錫悦 国政ろう断糾弾・特検要求 2次国民行動の日」集会を開催。民主党は20万人が集まったと伝えた。

同時刻には尹錫悦政権退陣運動本部と全国民衆行動が「国政ろう断 尹錫悦ОUT」市民キャンドル大行進を展開。「金建希を特検しろ 国政ろう断を糾弾する」「尹錫悦は退陣しろ 公安弾圧を中止しろ」とスローガンを叫びながら、光化門からソウル広場を経て政府ソウル庁舎まで行進し、沿道の市民も呼応した。

一方、ソウル警察庁は民主労総の集会を不法集会と規定し厳重対応を予告。民主労総は声明で「衝突を誘導する警察の乱入は、公安政局を造成し政権危機を免れようとするあがきだ」とし、「民主労総は暴力で国民の声を抑える尹政権を必ず引きおろす」と警告した。民主労総は同日夜、組合員を連行したソウル南大門警察庁前で抗議集会を開いた。警察の激しい弾圧に野党からも抗議の声があがった。

「尹錫悦弾劾国会議員連帯」42議員で発足

9月11日に結成された尹錫悦弾劾準備議員連帯が2カ月間の活動を経て、11月13日に国会議員会館で尹錫悦弾劾国会議員連帯として発足した。構成議員は12人から42人となった。

発足式では共に民主党のパク・スヒョン議員と祖国革新党のファン・ウナ議員を共同代表に、進歩党のユン・ジョンオ議員と共に民主党のキム・ジュニョク議員を幹事に選出。ユン議員は「民主勢力が一つになる動きに合わせて国会も力を得ている」と展望した。

弾劾議員連帯には民主党28人、祖国革新党9人、進歩党3人、基本所得党1人、社会民主党1人が参与した。

尹錫悦政権退陣運動本部に16団体が合流

尹錫悦政権退陣運動本部は11月15日、ソウルの民主労総会議室で記者会見を開催し、全国非常時局会議などの市民社会団体、カトリック正義具現司祭団などの宗教団体、韓国民芸総などの文化団体、16団体が新たに参与することになったとし、「さらに大きく、さらに広く、さらに強く」退陣本部を拡大、強化したと発表。これで退陣本部は7地域・44団体(13日時点、「進歩党」含む)に16団体を加え、67地域・団体の陣営となった。

参加者は記者会見文で「すでに国民は尹政権を見捨てた」「国民的抵抗が本格化している」「尹政権には退陣しか答えはない」と主張。退陣本部は3次総決起を「退陣のための汎国民抗争の日にする」と強調した。

「尹錫悦を拒否する市民行進」盛大に実施

全国民衆行動や参与連帯など広範な市民社会団体で構成する「拒否権を拒否する全国非常行動」は11月16日、ソウル市内で「金建希特検受容、国政ろう断糾弾! 尹錫悦を拒否する市民行進」を実施。光化門での集会後、沿道の市民の呼応も得ながら尹退陣の声を力強く上げ行進を展開した。9日に続くこの日の行進には5野党(共に民主党、祖国革新党、進歩党、基本所得党、社会民主党)も共に参加し、李在明代表を始め各党代表、各界からの発言が続いた。

また、市民行進に先立ち野党はそれぞれ大会を開催し、共に民主党は同所で「金建希・尹錫悦 国政ろう断糾弾・特検要求 3次国民行動の日」を実施した。同党は、李代表が公職選挙法違反容疑により1審で有罪判決を宣告されたことに対し、判決を糾弾し「尹錫悦検察独裁政権に抗し闘う」と明らかにしていた。

反尹国民戦線で退陣闘争を前進させよう

尹大統領の談話と会見は予想通り、何の変化も反省もなく、謝罪もポーズに過ぎず、完全な「開き直り」に終始した。自身と金夫人に関連する疑惑は否認し、金夫人に対する特検法は拒否し、逆に野党の政治扇動だと反発する始末。支持率低下に示された民心離反は意に介さず、弾劾・退陣の声も無視し、任期終了まで大統領職を続けると言明した。尹大統領には退陣しかないことがより一層明らかになった。

院内では弾劾を求める議員連帯が議員42人で正式発足し、院外では退陣運動本部に16団体が合流。退陣国民投票も約30万人に達し、さらに勢いを増している。

9日に続いて16日には野党も参加する幅広い連帯で特検・弾劾・退陣要求の反尹・市民行進が展開された。特に、尹政権による李代表への司法弾圧に直面する共に民主党は場外闘争に積極的に乗り出した。韓統連は10日に全国代表者会議を開催し、「尹錫悦退陣」の声を海外からあげた。

院内外を貫く幅広い反尹国民戦線が確実に構築されつつあり、退陣闘争は日ごとに高揚している。一方、警察は政権の意を受けて退陣闘争に暴力弾圧を加え、鎮静化もしくは事件化しようと必死だ。しかし、退陣要求の民意は暴力に屈することはない。闘いは2次、3次の総決起へと続く。広範な市民社会団体と野党が一体となって弾圧をはねのけながら、退陣闘争を大きく前進させよう。

※写真-1次総決起に結集し尹政権退陣を要求する参加者