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民主党「金建希不起訴」に場外闘争へ…退陣運動本部など「尹政権退陣国民投票」展開中

【2024年10月25日】

金建希株価操作疑惑、不起訴処分

ソウル中央地検は10月17日、輸入車ディーラー「ドイツ・モーターズ」の株価操作事件に関与したとして資本市場法違反の疑いが持たれていた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領夫人、金建希(キム・ゴニ)氏について「嫌疑なし」で不起訴処分とした。

検察は、金氏が上場企業のトップである同社のクォン・オス元会長を信じて収益を得ようと口座管理を任せただけであり、株価操作については知らなかったと判断した。

検察は判決後の会見で、「金氏の住居・事務所・携帯電話に対し、家宅捜索令状を請求したが、裁判所に全て棄却された」と発表したが、その後、虚偽であることが判明した。

民主党、検事弾劾・場外闘争へ

金氏の不起訴処分に対し「共に民主党」は18日、同党議員40余人が集まる中、国会で緊急記者会見を開き、「11月2日に金建希糾弾汎国民大会を開催する。これを始まりに金建希政権(※最近では尹金政権、金建希政権との表現が出ている)に対する怒りの民意を明らかにする」と主張した。

同党は会見文で「政治検察の無道な権限乱用と職務放棄により原則と常識が崩れ、民主主義の根幹が揺らいでいる」「これが国なのか」と糾弾した。また、「家宅捜索令状は棄却された」とする検察発表が虚偽であったことを取り上げて、「国民は嘘で嘲弄(ちょうろう)される存在ではない」と批判した。

さらに、民主党はシム・ウジョン検事総長と関連検事の弾劾訴追案を提出する方針を決めた。国会で検事の弾劾訴追案を可決するには在籍議員の過半数の賛成が必要。共に民主党は国会(定数300)で170議席と過半を占めており、弾劾訴追案は可決するとみられる。

一方、尹大統領は21日、大統領室庁舎で与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表と面談した。韓代表は金氏に関する問題の解決のために、△金建希ライン(人脈)など大統領室の人的刷新△金氏の対外活動中止△金氏の疑惑究明手続きでの協調を提示したが、尹大統領は事実上すべて拒絶した。

尹政権退陣国民投票、展開中

尹政権の退陣を求める各界の団体・個人は8日、ソウル市内で「変えようのない政権! 我慢せずに参与しよう! 尹錫悦退陣国民投票 突入宣布 記者会見」を開催した。キム・ジェハ国民投票推進本部長は「尹退陣の鍵は民意の爆発」だとし、国民投票は「国の主人である国民が直接乗り出す運動」であり、「退陣をこえて民意による韓国社会の大改革を切り開く運動」であり、「尹大統領を擁護する『国民の力』への警告」であり、「退陣の民意に躊躇する政治圏への要求」でもあると説明し、大規模な運動を起こそうと訴えた。

具体的には△草の根レベルで推進本部を構成する△支持宣言、声明、記者会見などを行う△ホームページを積極活用する△開始の10月に力を入れる(目標は11月末までに100万)ことなどを提示した。

現在、国民投票運動は全国的に展開されている。

尹大統領支持率、就任後最低24.1%

 韓国世論調査会社のリアルメーターが21日に発表した調査結果によると、尹大統領の支持率は前週より1.7ポイント下落した24.1%となり、就任後最低を更新した。不支持率も1.0ポイント上昇の72.3%で就任後最高となった。調査は14~18日に全国の18歳以上の2510人を対象に実施された。

院内外の闘いを束ねて退陣要求へ

尹大統領は自身と金夫人の疑惑捜査に備えて検察に親尹体制を敷いた。検察は今回、「家宅捜索令状は棄却された」と嘘までついて金氏を「徹底擁護」し、尹政権の意向に全面的に応えた。検察に対する国民の不信は増大するばかりで、尹大統領と金氏に対する国民の怒りは頂点に達しようとしている。大統領支持率は最低値を更新中で民意は明らかだ。尹大統領は、それなりに状況を打開しようとする与党代表の進言にも耳を貸そうとしない。

こうした中、民主党は場外闘争にも乗り出す積極的な闘争姿勢を示し、退陣運動本部など市民社会団体は退陣要求総決起の連続開催と国民投票の集中展開を重ね合わせることにより、尹政権退陣の民意を具体的な力として結集しようとしている。

野党であれ市民社会団体の側であれ、糾弾・審判・弾劾・退陣などと表現・方法に差異があっても、大きな意味で現在、反尹・金の闘いが高揚しているのは事実である。こうした闘いを院内外を貫く汎国民的な尹政権退陣闘争へと束ねながら、退陣要求のうねりをさらに大きくしていくことが、いま尹政権退陣のために求められている。

※写真-「尹錫悦退陣国民投票」の開始を宣言する退陣運動本部