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尹大統領、梨泰院惨事特別法にも拒否権行使…遺家族「真相究明を求め続ける」
【2024年2月9日】
尹大統領、梨泰院惨事特別法に拒否権
大統領室は1月30日午後、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が午前の国務会議で議決された「10・29梨泰院惨事真相究明と再発防止および被害者管理保障のための特別法案(梨泰院惨事特別法)」の再議要求案を裁可したと明らかにした。尹大統領の法案再議要求権(法案拒否権)行使はこれで9回目。尹大統領の拒否権行使の回数はいまだ任期の途中にもかかわらず、李承晩(イ・スンマン)元大統領(45回)に続いて歴代大統領の中で2番目に多く、朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領(7回)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領(7回)の記録をこえた。
国務会議で韓悳洙(ハン・ドクス)首相は同法案について、「真相究明のための特別調査委員会を設置し、追加調査をすることが核心内容となっているが、これまでの捜査結果に対し明確な根拠もないまま、追加調査することが犠牲者と遺家族、国民にはたしてどのような意味があるのか深く考えざるを得ない」と追加調査に疑念を示し、法案は国家の行政力と財源を消耗し国民の分裂と不信を深化させると再議要求の理由を説明した。一方、政府は遺家族との合意を経て、財政的支援、日常回復の支援、梨泰院地域を中心とした経済活性化、追悼施設の建設などを推進するとし、国務総理所属の「10・29惨事被害支援委員会」を構成し具体的な対策を講じるとしている。
遺家族「真相究明のない支援は必要ない」
「10・29梨泰院惨事遺家族協議会」は同日、国務会議で再議要求案が議決された後、ソウル広場の合同焼香所で記者会見を開き公式的な立場を明らかにした。遺家族協議会は「遺家族は財政支援と賠償を求めたことはない。ただ真相究明をひたすら望んでいる」と強調し、調査は必要ないと繰り返しながら被害者を支援するという政府の姿勢を厳しく批判した。そして「最小限の名分も根拠もない大統領の拒否権乱用は国民的審判を免れない」と指摘し、「10・29梨泰院惨事の真相が究明されるまで、わたしたちは歩みを止めない」と決意を明らかにした。
「共に民主党」は「真相究明を望む遺家族と国民を侮辱してはならない」と政権を批判し、進歩党は「責任者を処罰し、こうした惨事が再び起こらないようにしなければならない」と主張した。
遺家族協議会と「10・29梨泰院惨事市民対策会議」「拒否権を拒否する全国非常行動」は2月3日、「拒否権統治をはねのけ民主主義を守ろう」「憲法じゅうりん! 国会否定! 尹錫悦政権は違憲だ」「10・29梨泰院惨事の真相を究明しろ」などのスローガンが書かれた、犠牲者159人を象徴する横幕159枚を掲げて、合同焼香所から鍾路、乙支路を経て政府庁舎前までデモ行進した。
尹政権を審判し特別法を立法化しよう
2022年10月29日、159人の尊い生命が奪われた梨泰院惨事。真相を究明し責任者を処罰し再発を防止するための梨泰院惨事特別法に、尹大統領は拒否権を行使した。国会での法案協議の過程で大統領室の要求は与党「国民の力」を通じて相当部分が反映された。遺家族は惨事の原因と各部署が適切に対応したのかどうか綿密に捜査するために、可能なことはすべて譲歩した。1年余り、街頭で絶叫し剃髪し地を這いながら法案の成立を全力で求めてきた。しかし尹大統領は法案に同意せず、与党は国会議長の仲裁を拒否し本会議から退場した。野党は総選挙に及ぼす影響に神経を使ったが、大統領室には惨事の調査を受け入れる考えは少しもなかった。特別法賛成の世論が高揚しても尹大統領は気にも留めなかった。
梨泰院惨事特別法に対し非情にも拒否権を行使した尹政権に巨大な審判を下さなければならない。そして特別法は拒否権を乗り越えて必ず立法化されなければならない。