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韓統連会員に対する旅券の制限は人権侵害
-国家人権委員会が改善を勧告-
「韓統連の会員に対する旅券発給制限および不許可に伴う人権侵害事件」に対する 国家人権委員会の決定内容が明らかになった。2019年4月23日に結成された「韓統連の完全な名誉回復と帰国保障を求める対策委員会」の提訴を受けての決定だ。
●旅券有効期間の制限をしないよう勧告
韓国政府発行のパスポートの有効期間は本来10年であるにも関わらず、韓統連の会員に対しては1年・3年・5年など不当に制限されてきた。
その法的根拠とされているのは旅券法第6条第2項第5号だ。その内容は「国外に滞留する国家保安法第2条に基づく反国家団体の構成員として、大韓民国の安全保障、秩序維持および統一外交政策に重大な侵害を引き起こす憂慮がある人に対しては(旅券の有効期間を)1年から5年までの範囲で侵害憂慮の程度に従って外交部長官が定める基準に従って決定する」となっている。
これに対して国家人権委員会は、外交部は「大韓民国の安全保障、秩序維持および統一外交政策に重大な侵害を引き起こす憂慮がある人」であるかどうかについて根拠を示すこともなく「反国家団体の構成員」であることだけをもって一律に有効期間を制限したのは不当であり、憲法第14条「すべての国民は居住・移転の自由を持つ」を侵害するので是正するよう勧告した。
この決定に基づいて外交部が関連手続きを整備すれば、今後、韓統連の会員に対しては、すべて有効期間10年の旅券が等しく発給されることになる。
●旅券発給拒否は在外同胞に対する重大な人権侵害
韓国政府が旅券発給を拒否する場合、その根拠とされてきたのは旅券法第12条第1項だ。
その内容は「長期2年以上の刑に該当する罪によって起訴されている人、あるいは長期3年以上の刑に該当する罪によって起訴中止になるか、逮捕令状・拘束令状が発布された人の中で国外にいる人」に対して外交部長官は旅券の発給を拒否することができると定められている。
これに対して国家人権委員会は、旅券法第12条は大韓民国に居住していて罪を犯した者が海外に逃亡することを防止するか、すでに逃亡した者に対して旅券の再発給を拒否することで帰国させることを目的としたものと判断される。
これが在外国民に適用された場合、大韓民国国民でありながら大韓民国に入って来ることができないという悲劇を招来することになるので、法改正の必要があるとの意見を表明したのだ。
「世界人権宣言」第13条第2項「すべての人は自国を含めてどのような国であれ離れることができる権利と自国に戻れる権利を持つ」、および「市民的政治的権利に対する国際規約」第12条第4項「誰であれ自国に帰ってくる権利をはく奪されてはならない」という規定を引用して、在外国民が祖国に帰る権利を保障するよう法改正を求めたことは画期的なことだと言える。
●国家保安法撤廃闘争に邁進しよう!
ちなみに国家人権委員会は「反国家団体ではないという陳情人の主張についてはここでは判断しない」とした。
民主社会のための弁護士の集い(民弁)によれば「反国家団体でない」ということを法的に立証するのはとても困難だという旅券を悪用した不当な弾圧を是正させた今回の成果を踏まえて、国家保安法撤廃闘争に邁進しよう!